はじめに
家祓いの物件も、家祓いするほどではない物件から、最初から問題がある物件だったり様々です。
そんな中、家祓いまで至らなかったケースがありました。
妻の同僚からの相談
ことの始まり
妻は民間企業のパートとして働いています。
妻が務めている先の仲の良い同僚のご主人が士業をされています。妻から聞いたことによると、同僚のご主人の仕事先では事務員さんも増えてきたため、新しく街中のテナントビルの一室を探しているとのことでした。
ようやく、探し出した物件は広さも丁度よく立地も良いところで、契約しようとされていたそうです。
問題のある物件
とても気に入って契約しようとしていた物件は、妻の同僚が行くたびなぜかに気分が悪くなっていました。
その物件から離れると不思議と体調は元に戻るのです。妻の同僚は気のせいだ思っていたのですが、その物件を見に来る従業員の中にも、突然気分が悪くなったり、何か気味悪さを感じていたり良い印象はなかったようでした。
これは何かあると思った妻の同僚は、わたしが僧侶だと知っていたので妻を通して相談を持ち掛けたというわけです。
相談を聞きながら
同僚のご主人本人には、直接お会いしていたわけではありません。
最初に、その話しを聞いたのは週末の夕食後妻からでした。話しを聞きながら、わたしは寺院の誰に家祓いを頼もうかと思っていました。家祓いで、その妻の同僚や従業員が感じていた悪想念も晴れてしまうだろうと軽く考えていたのです。
しかし、その事務所の場所を聞いた途端、突然背筋に寒気が走りました。そして、何者かがわたしの心臓を握ろうとしているのを感じたのです。
急いで龍神様を勧請するとこころの中で印を切りました。その時、低い唸るような声で何者かが耳元でこう囁きました。
かかわるな・・・
わたしは、その事務所の契約をすぐに止めるよう伝えてと妻にいいました。家祓いどころではありません。
恐ろしく強い桁違いの想念が、その事務所の周りに漂っていたのです。
幸い、週明けに手付金を払う段取りになっていたため、ギリギリのタイミングで契約をキャンセルすることができました。
良い物件だったようですが命には代えられません。
詮索してはならない
話しは変わりますが、家祓いはもちろんのこと障りに関する事案の時には、事前に当該の場所へ調査に赴くことがあります。
その時の心掛けとして目に見えない何らかの意識存在に相対する場合は、決して、出生を詮索してはいけないと兄弟子から教えられました。
例えばこの神は、何の神だろうかとか。この霊は、どんな経緯でここにいるんだろうかとか。決して、探ってはならないのです。
どういう仕組みかはわかりませんが、探ろうとする意識を持つと相手からすれば敵に見えてしまうためです。
ある僧侶の出来事
詮索で危ない経験をした兄弟子からお話しを伺いました。
兄弟子が病院の家祓いに行ったところ、ある病室のなかにそれはそれは美しい女性がいたそうです。(もちろん、目には見えていません)
少し油断した兄弟子は、
こんなきれいな人が、いったいどこから来たのだろうか?
と出生の詮索を始めてしまいました。すると、美しい女性の袂から短剣を抜く音が聞こえてきました。
美しい女性は詮索された途端兄弟子を敵とみなしたのです。僧侶は、急いで龍神様を勧請し詮索を止めたとのことでした。
おわりに
わたしも、妻の同僚の話しを聞きながら因縁の正体を詮索していたら命がなかったかもしれません。もっとも、その時は恐ろしくてその余裕もありませんでした。
後日、ご主人はわたしに何か所かの新しい事務所の候補をお持ちになりました。見てもらった方が早いということなのでしょう。その内の一か所だけは止めた方が良いことをお伝えしましたが、最終的な決断は妻の同僚に判断してもらうよう提案しました。
妻の同僚は正しく自分の持つ直感力を使えているようだったので、彼女が良いというところで間違いないと思ったからです。
そして、新しく決まった事務所には、わたしの寺院のおとうと弟子にあたるとても霊感の強い僧侶に家祓いをお願いしました。
その後、ご主人は新しい事務所で従業員共々つつがなく仕事されているようです