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こころへの回帰

こころへの回帰

はじめに

こころを整えることは、より良く生きるための手段です。しかし、こころを整えるといってもピンとこない人がほとんどではないでしょうか。

こころのことを言われても多くの人はピンとこないのです。このため、人類史上取り組む難題のひとつであることが自明であることも想像できるでしょう。

多くの人は、体に被ったケガや傷の手当はすぐに行いますが、こころの問題は探ろうともしません。人は自分のこころについては、他ならぬ自分自身のことだから、知っていると勘違いしてしまうのです。

これでは、たとえ問題があったとしても見過ごしてしまうのは当たり前です。

人の行動を左右しているものは、こころです。こころが及ぼす影響がどのようなものなのか、このブログでも何回か取り上げていますが、再確認しておきたいと思います。

人は同じ過ちを繰り返す

今日は気分がいいから散歩に行こう

癪(しゃく)に障るからしゃべらない

これら思いつきの行動から無意識の行動まで、その発端はこころの動きからはじまります。

人にはどうしても、その人独自の行動をしてしまうこころの癖を持っています。昨今、よく目にする言葉ではないでしょうか。

こころの癖は、誰にでもあります。それについて、気付いているかいないかです。

ところが、人はなかなかこころの癖の檻から抜け出そうとはしません。それは、頑丈な檻から出る苦しみに比べたら、変わらぬ自分の方が居心地が良いからです。

このように人は、同じ過ちを繰り返すこころの輪廻からずっと抜け出さないのです。

こころの成長を妨げるもの

経文に次のように書かれています。

罪業因縁故 失楽及楽想 住於邪見法 不識善儀則 不蒙佛所化 常堕於悪道

罪業の因縁の故に 楽及び楽の想を失い 邪見の方に法に住して 善の儀則を識らず 仏の所化を蒙らずして 常に悪道に堕つ

妙法蓮華経 化城喩品第七

経文の罪業の因縁とは、すなわち前段の癖づいたこころを指します。同じようなことが、マタイによる福音書第七章にも書かれています。お釈迦様をはじめ、キリストやマホメットなどこころを解く賢人は、これまでも現れてきました。

しかし、人々は、例えば戦国武将を扱ったドラマのように、その人生を美化し、興味本位に取り上げるだけで、武将の内のこころの本質を観ようとはしません。その選択や行動で、その人物を分かった気になってしまうのです。

経済発展を前提にした物質文明は、欲望を助長し人のこころを曇らせてしまいます。価値観の多様化は恩恵もありますが、それは、多くのバイアスと迷いを人々にもたらしてもいます。また、精神科学的なアプローチの発達は自分のこころを、さもわかったような錯覚に陥りがちです。

人のこころの根本にある無明が人を苦しみへと導いていることを、お釈迦さまは「十二因縁の法」として解かれています。

まとめ

習性したこころを解き放つのも、またこころです。

選択する権利はあくまで自分にあります。癖づいたこころは、人が生まれ持ったものであるため、その軌道修正には時間と根気が必要です。あなたの今あるこころの在り様は、長い悠久の時をかけて積み重なってきた結果なのです。

ほとんどの人々は、仕事や生活に追われてこころなど構ってられる余裕などないというでしょう。

わたしは、あなたのこころのあり方があなたひとりの問題に留まらず家庭の安泰、ひいては社会から世界平和へと繋がっている事実を早く気が付いてほしいと願っています。

追われる日常の中で安易な欲望へと舵を切り、自分のこころを埋没させるような生活をしてはなりません。

わたしは無駄を承知で、お釈迦さまが説いたこころへの回帰を、これからも度あるごとに発信していきたいと思っています。



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