はじめに
このブログの記事内で目に見えない世界の様子をたびたび見かけられたと思います。
例えば、供養の行き届いていない先祖の家の墓が崩れ落ちる映像が見えてきたり、または何も書かれていない白木の位牌の画像が見えてきたり。お嫁さんの角隠しの飾りの鶴が羽ばたき飛び立とうとしていたり。深酒に悩む人に酒を注ぐ手が伸びてきたり。
このような目に見えない世界からの情報は、ありがたいことに信徒さんを含めると
数限りなくあります。
これを実相といいます
実相とは
この実相については経文に随所に説かれています。
例えば方便品第二より、
我以嚴身 光明照世間
無量衆所尊 爲説実相印
我相を以て身を嚴(かざ)り 光明世間を照らす
無量の衆に尊まれて 為に実相の印を説く
妙法蓮華経 方便品第二
この実相を説明することは大変難しいのです。
でも頑張って、簡単に言ってしまえば、神仏が、人のこころの奥底にある心象風景
または、その人の過去から未来に至るあらゆる事象を、画像、映像を中心とした情報として、人に何とか伝えようとされているものです。
信徒さんの間では、より分かりやすく「お知らせ」という言い方で通っています。そこで、実相では堅苦しいので、以後お知らせという言い方で書きます。
心象風景ですから、上記のように分かりやすいものもあれば、難解なお知らせもあります。通常、実相は経文より唯仏と与仏のみ解説(げせつ)可能なものですので、与仏である住職のみ説くことが許されています。
そのため、僧侶でも難解な実相の解説は住職に委ねます。また、例え簡単に説けると思われても、人の生死に関わるようなお知らせの内容次第では、住職に再確認することは必須です。
お知らせを頂く経緯
わたしの寺院の信徒さんは、入会すると市役所に戸籍を届けるように、本尊の脇神である吉祥弁財天様が管理する仏籍へと入る儀式を執り行います。仏籍に入る読経中は、あたかもジブリ映画の「千と千尋の神隠し」の”千尋”の文字が宙に舞っているかのように、名前を略されることなくw本尊に吸い込まれていく様子が確認できたりします。
仏籍に入ると、信徒も神仏を信じる様にと、宗祖*1とお釈迦さまと
交わしたお約束からお知らせを頂戴できるようになるというわけです。
お知らせと修行
神仏からのお知らせは、偽りも、忖度もないド直球でこころに突き刺さってきます。このようなお知らせといった目に見えない世界からの手がかりは、信徒さんたちの修行の大きな助けとなっています。
例えば、口の先が針となって相手を突いているようなお知らせがあったなら、言葉使いに気を付けるだろうし、自分がカエルになった知らせを頂いたら、不満やストレスなど何でも腹に貯めるような生活をせずに、もう少し息を抜くよう工夫するでしょう。
まとめ
今回は、わたしの寺院の教義の一部を少しお話ししてみました。
神仏のお知らせを頂戴することは、四聖に生きようとする人たちのためにこれ以上ない特権だと思います。
一方で、良いも悪いも、ド直球の内容を知ることは、覚悟のいることかもしれません。また、この特権を自分の能力だと誤解しあたかも自分を神仏の使いと勘違いしてしまい、おごってしまうこともあります。
わたしも僧侶として、神仏と信徒さんとの仲立ちに過ぎないと、常に自らを戒める様にしています。